10・26 特別オプションはじまる

 

 朝5時。
イガ待ちで、かっちゃたちは一息ついていた。

 

暗がりの中の炭火で、ホイルに包まれたマグロ頭が
ゆるゆると焼かれている。
ハイテンションのかっちゃに対して、男子チームは気が張って
ほとんど眠れず。顔が青い。

 

 

ぽっかりと電気がついて
かっちゃたちの笑い声だけが響く。

 

 

一本釣りの船が、静かに静かに沖に出ていく。
べた凪ぎだ。大間では、あぶら凪ぎって言うけど。

 

 

イガが来た!
ゆうべ、沖がしけたためイガがあがらず。
組合長があちこち探し回ってきたのだ。
あがったばかりのデラデラのやつを食べさせたくて。

にわかに活気づくかっちゃたち。
空が白くなってきた。

 

「マグロ、あがった!」

 

準備中のかっちゃたちも、外に飛び出す。
千鳥丸だ!幸先いいどー!
沖をうろついてた旅人からも歓声があがる。

さあ、朝めし小屋もはじめるど!

 

 

ぴちぴちイガ刺しにマグロのかぶと、イガのなまっぴは自分で焼き焼き
マグロの胃袋の酢みそもどうぞ!汁にはブリで、どーだ参ったか!
食べはじめた途端、静まりかえる朝メシ小屋。

 

 

はいはい!イガの腑炒めもでぎだよ〜。
ほれ、食べでみせ。

 

「マグロ、あがったど〜!」

え?まんだが?
一同、わらわらと外に出る。

 

うわ〜〜!拍手が起こる。幸盛丸だ!
200キロ近く、あるんでねーが!

 

後ろの船も、マグロでねーが?

え?まんだが?

幸盛丸の後ろに、すーーっと入ってきた船がある。

 

 

ああ、またマグロだああああ!今度のは洋幸丸。
この大間でも、マグロをおろす船が順番待ちをしているところは
滅多に見られるもんじゃない。

今日のお客さんは、ほんとに腹いっぱいだったろう。

 

おっ、来た来た!

 

弁天島でのマグロ漁ウォッチング。
ガイドをつとめるのは、79歳にしていまだ現役漁師
かねたまるのおっちゃだ。出発前からウンチク語って、すでにエンジン前開。
1日中、島にいてもいいように、甘酒缶と干しもち持参。
用意も周到だ。

 

さあ、いってらっしゃ〜い!

 

 

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