大間語マスターしたら、大間へGO!


擬音がすんごい!

 「静電気でチクチクする」なんて、よく言いますよね。
 その「チクチク」って、なんとなく理解出来ますが、
 大間語はそんなもんじゃない!とくと、ご堪能あれ!



   ● 頭さドチッ!って落ぢで来た
       (頭にドンと落ちて来た)

    チカチカったちゃっけートゲ、刺さってら。
     
(チクチクした小さなトゲが刺さってました)

   ●
ムシラムシラって、まま食う。
       (ムシャムシャ(黙って)、飯を食う)

     ピラピラって煌めぐ
       (キラキラと、煌めく)

    ● パヤパヤった毛っこ、おがる。
        ((ウブ毛みたいな感じ)の毛が生える)

    ● マヤマヤった、まなぐあべ
        ((モヤがかかったような)目の調子(の悪さ))

     ガリガリった、ふと
        ((何でも)バリバリこなす人)

    ● ゴリゴリった、ふと
       (体の大きい、又はたくましい人)

     ジゴっておごる。
       (つぶやき、憤り、怒る(ちょっと説明し難い))

     メタメタった雪。
       (ドロドロ(粘っこい)の雪)

    ● ジナジナった菓子
       (湿気った、お菓子)

    ● ガンガガンガど照らす。
       (まぶしいくらいに照らす)

     ケチャケチャった、つゆ
       (固形質っぽくない、柔らかいつゆ)

     ゴゴラゴゴラった、ポケット
       ((動きが不自由なくらい、物が詰まった意)ポケット)

     男ぶり上げで、ズルズルってる。
       (男ぶりを上げ、キマってる)

    ● やじからば、ドフドフって歩いた。
       (湿地帯を、ズボズボとハマリながら歩いた)

    ● チャチャピー
       (下痢の事、恐らくは擬音)

    ● ビタビタど、戸閉めろ!
       (ピッタリと、そしてキチンと戸を閉めなさい!)

     デジッと、重で
       (どっしり、重い)

     ダフッとした服。
       (大きくてダブダブの服)

   他、ここでは紹介しきれないほど、あります。

   通常、全国で標準的に言われる擬音も使われます。
    例えば、悶々とする。湿気でムシムシする。
         汗がダラダラと。グッタリ疲れる。など色々。

   大間では、会話に擬音が使われない事は少ない。
   その豊富な擬音の効果が、会話をより楽しく、そしてリアル
   に伝え、コミニュケーションが発達しています。
   ただし、公的な場合には、逆効果になりかねず、使われない
   場合が多い。ちょっと残念ですね。
   町長答弁で、「バリバリとその件は進めます!」とか(笑)



地元民による大間語会話(擬音編)
(初級編) ある冬の日の事。

 B「今朝、車で出だら、道路もなも、黒ぐビラビラって凍ってで、
   ズルズルってらったじゃ。」
 K「や!ゆべながら、ガンガガンガど凍ってらけに。」
 B「ほしてらっけ、車のけっつ、グッど振ってまってさー、
   あああーど思ってらうぢに、道路脇さあった柱さ刺さって
   ドガンさ。」

==========================
 訳してみました。
 B「今朝、車で出かけたら、道路といえども、黒光りするほど
   凍ってて、ツルツル滑る状態だった」
 K「いや!昨晩から、固く凍りついていたよ(知らなかった?)」
 B「そうしてるうちに、車のテールが滑って流れてしまい、
   驚いて、何も出来ないうちに、道路脇の柱にぶつかり、
   大破しちゃったのさ。」




(中級編) とある噂話が・・・

 J「おめ、おぼえでらがー、あっこの人」
 T「ああ、あのゴリゴリった、おやんじだべ?」
 J「ほの、ゴリゴリのかがだっけ、ガリガリった人だけな」
 T「ほいで、息子デブッとしてなー」

 J「このめ、ゴリゴリ、髪もなもビリッとして、
  ズルズルってらった」
 T「あのパヤパヤの髪ばなぁ?」
 J「おなごんどごさ、行ってらじけさ」
 T「あのカガだもの、ゴリゴリもなも、やってまべど」
 J「ばげままもなも、ムシラムシラってるんだじー」
 T「ほいで、このめ、ゴンジゴンジってらったのなー」

==========================
 訳してみました。
 J「貴方、知ってる?あそこの方」
 T「ええ、あの体格の良い、旦那さんでしょ?」
 J「その方の奥さんは、テキパキタイプだよね」
 T「それで息子さんはデブだしね」

 J「この間、その旦那さん、髪も含め、全てキメてたの」
 T「あの少ししかない髪で?」
 J「(それが)妾通いしてるそうなんですよ」
 T「あの奥様(の気性)だもの、旦那様だって、タダじゃ
   済まないでしょうに」
 J「(だから)晩御飯ひとつとっても、会話が無く、異様な
  雰囲気だそうよ」
 T「それで、この前、訳の分からない小言を(奥さんが)
  愚痴ってたのね」

 注:ゴリゴリは旦那さんの事ではなく、形容したものを、その
   対象として慣用した言葉であり、日常的にそうした暗号の
   ような言葉が、噂に用いられます。

   (つまり、他人に聞かれても差し障りないよう、勝手に
    アダ名をつけて、喋っているという事です)




(上級編)漁師たちは

 H「だで、吹いでらなぁ」
 Y「旗もバダめいでらっけに」
 H「バダめぐもほんだたって、ドンブラめいでらんでねな」
 Y「ドンブラもダンブラもなも、先見えねだげ、おってらけな」
 H「じゃーいーはぁ」
 Y「ドバドバど波もなも入ってきて、水船になど思ったで」

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 訳してみました。
 H「凄く、風と波で荒れ模様だねぇ」
 Y「旗も絶えずバタバタとなびいてるし」
 H「風もそうだが、波とうねりも相当ありそうだねぇ」
 Y「そんなもんじゃない!船の進む先が、ぶつかった波しぷき
  で見えなくなるほどだ」
 H「何?(驚愕)そんなにかぁ」
 Y「どんどん船に波が入ってきて、半水没状態にるかと
  思ったよ」

 注:Hさんは海の状態を知りたいと思い、Yさんに聞いた。
   Yさんは一応、出漁してみたが、ダメだと思って帰った。
   会話から、以上のシチュエーションが読みとれるのだ。


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