地域生活応援誌:JUNTOS(フントス)リレ-連載
@JUNTOS:45号掲載@
キンズの「旗振り隊長北京に行くの巻」
あおぞら組旗振り隊長のキンズです。
現在大間の役場から青森県庁に飛ばされ中。
さらにまちおこしゲリラからも
北京まで飛んでもらうという話が・・・
まちおこしゲリラ「あおぞら組」が注目を浴びるようになったのは、2004年アテネオリンピックの時でした。
大間出身、柔道90kg級の泉浩選手が銀メダルを獲得し、その際応援席にいた両親を初めとする大間の大応援団が着用していた「マグロ一筋」テーシャッツ(Tシャツ)が全国的に脚光を浴びました。
マスコミでの紹介直後、私の勤務している役場もテレフォンショッピング状態になり、職場の上司から「事前に言っとけ!」とお叱りを受けました。100枚の追加販売でその場は乗り切り(?)、現在はその経験を生かした販売体制を構築、町の活性化のために役立てていただいています。
その泉浩選手ですが、4年後の今年も、見事北京オリンピック出場を射止め、町はとても盛り上がりました。早速、北京への約20名の大応援団が結成され、その中に1名の町おこしゲリラ派遣枠が含まれていました。まさか私がその枠にはまろうとは思ってもいませんでしたが、福岡での代表決定の決め手となった体重別選手権大会の応援で、大漁旗を恥ずかしげもなく振って応援した姿が首脳陣に認められ「北京でも大漁旗を振ってけろ!」ということで逆にお願いされました。
ゲリラ派遣に選ばれ素直に喜びたいところでしたが、そこはまちおこしゲリラ。必ず何かしら現地でのミッションを与えられるだろうと思い、出発までこっそりしながらやり過ごそうと思っていました。
思惑どおり特に指令もないまま出発数週間前になりました。組長の島康子から「壮行会をやってあげるから帰っておいで」と連絡があり、旅行費用も負担していただいたうえに壮行会までと感激し涙を流しながら大間に向かいました。
しかしそこで待っていたのは「そうはいがん」という言葉と重大なミッションでした。
ミッションの内容は、マグロ一筋テーシャッツを数十枚持って行き、世界各地から来た人にプレゼント。その場で着用をお願いし、一緒に写真を撮ってブログにアップするということでした。
ご存じのとおり、北京は厳戒状態。目立つことをすれば公安に拘束されるかもしれない大変危険度の高いミッションでした。「捕まらない程度にね!」ということでしたが、全然励ましになっていません。せめて「君の命に危険が迫っても当局は一切関知しない」と言われた方がトム・クルーズの気分で行けるのにと思いました。
中国からのブログアップは、海外でも使うことができる携帯電話を契約する必要がありました。レンタルで対応しようと試みましたが直前で対応機器が出払っており、しぶしぶ水漏れで有償修理したばかりの携帯電話を機種変更してミッション機材の準備を終えました。
出発日、他の参加者より明らかに1泊多い荷物で仙台空港を飛び立ちました。
旅行日程は3泊4日。オリンピック期間中、北京宿泊は1泊8万円ということで、初日と最終日は飛行機で1時間の大連に宿泊することになりました。ということでゲリラミッションも滞在時間の長い大連から開始です。
現地のガイド、王さん。一日中着用してくれました。
とりあえず、ガイドに付いてくれた大連の若者に1着、バスの運転手1着プレゼント。早速ブログにアップしたところ、日本の組長からすぐにクレームが。「ちゃんと着せて撮せ!」。すぐに着替えさせて再度アップ。
初日の夜なので意気込んで、世界の人々を求め大連の街に繰り出しましたが、大連の人しか見かけませんでした。最終的に日本人専門の店に落ち着いて夜は更けました。
2日目、いよいよ北京に出発。応援団は全員赤のマグロ一筋テーシャッツに着替え会場へ。北京オリンピックの応援は会場への持ち込み品が規制され、大漁旗はもってのほか。ユニフォームであるテーシャッツも危ないところでしたが分散作戦でどうにか入場成功。
試合開始前、少しでもゲリラミッション遂行しておこうと思い、私たちの前の席に座っていたロシアの応援団にテーシャッツをプレゼント。英語は通じませんでしたがなんとかジェスチャーで着てもらい記念撮影。その場でブログアップ。すごく順調な滑り出しでした。しかし、この写真がまさかミッション最後の1枚になるとは誰も思っていなかったことでしょう。
左:キンズ、中央:ロシア応援団、右:大間町長
快く記念撮影に応じてくれたロシアの応援団。ミッション最後の一枚。
1回戦開始。大漁旗を奪われた私は唯一の武器の大声を駆使し応援。その他の大間の応援団も手作り扇子や棒状風船を準備してはいますが、基本的には私と同じく ”ずなり”が武器。気は優しくて口悪しの大間の人。当然応援のトーンもそのような感じ。途中で「ふさわしくない応援はやめましょう」という声が聞こえたような気もしました。後ろからつつかれたような気もしました。しかしそれに反応することなく夢中で応援。そのかいもあったのか、なんとか1回戦突破してくれました。
このまま「金メダルだー」と意気込んでの2回戦。本気で応援する間もなく、まさかの1本負け。応援団一同意気消沈でした。残念ですがこれが勝負の世界。
応援はこれで終わってしまいましたが、私にはまだ残されたミッションがありました。
テーシャッツを持って私たちの後ろの席にいた人からプレゼント&撮影作戦開始。
一人目、ドイツからの応援団。「プレゼント!」と笑顔でテーシャッツを差し出しましたが、ものすごい顔で拒否されました。拒否した後も隣同士で明らかに私を批判しています。
文化の違いと勝手に思って、その後ろのオランダの応援団の方に同じく試みました。しかし全く同じ反応でした。そこで気づいた事は私たちの応援があまりにうるさくてむかついていたんだろうという事でした。
今までプレゼントを断られたことがなかったこともあり、反応にとてもショックを受け、その後は外国人に話しかけることさえできなくなってしまいました。ミッションは終了です。残ったテーシャッツは日本から来ている他の応援団や大連でお世話になった方々にプレゼントしました。
ブラジルの応援団と。ノリは大間の人と変わらない。
大間はやはりラテン系?
ブログを見ていた方からは「出だしは良かったのになー」というコメントを多数いただきました。期待してみてくれた方々には大変申し訳なく思います。
今回、活動は仲間がいないと難しいということを改めて実感しました。
ですが、これに普段活動を共にしている仲間が加わっていたら、間違いなく捕まっていたことでしょう。それだけ北京の警備は厳重でした。何はともあれ無事に帰国出来て良かったです。
次回のオリンピックはロンドンで開催される予定です。泉選手今度こそ金メダル目指して頑張ってもらいたいです。そのためにも今後とも私たちは旗を振り続け応援します。
◎キンズのミッション遂行の様子は、こちらブログをご覧ください。
http://aozoragumi.cocolog-nifty.com/aozoragumi/cat30038946/index.html